
「医療現場におけるコーチングの事例研究会」から
2010年7月31日に行なわれた「医療現場におけるコーチングの事例研究会」では、現役院長の星野和彦先生(ほしの内科クリニック)とPCC代表 本多喜久雄との医療現場におけるコーチングの活用事例が参加者に伝えられました。
開業医は「医者」であると同時に「経営者」でもあります。そして多くの開業医は医療に関する訓練は十分に行ないますが、経営に関してはよくわからないまま開業することがほとんどです。そして医療というコンプライアンスの遵守が重要であり、評判に対してセンシティブに扱う必要がある業種ゆえに経営に関する悩みを誰にも相談できずに悩みから抜け出せない開業医が多いと聞きます。
今回、星野和彦先生という「医療のプロフェッショナル」であり、「初めて企業(医療法人)を経営する」という立場のクライアントに対して、コーチングによってどんなアプローチをおこない、そして成果を出したのか。本対談より感じ取っていただければ幸いです。
閉塞感が打破された
参加者の率直な質問から。
- 参加者
- お二人にお聞きしたいのですが、最初コーチングを受けはじめたとき、職員の皆さんはどういう反応をされていましたか? そして今どう思っているのでしょうか?
- 本多
- 反応はどうだったんですか?
(本多が星野先生のコーチをしていることを)知らなかったですかね? - 星野
そうですね。受け始めるときに わざわざ職員に説明したわけではありません。
コーチングを始めた後に、少しずつ本多さんに職員全体の会議にも出てもらうようになって、本多さんが直接職員に接することが増え、今では、会議だけでなく忘年会などにも参加してもらうようになってきています。
そんな中でも、職員からは私が本多さんのコーチを受けている姿を見て「この職場をなんとかしようと思っている」というのは伝わっているんじゃないかなと思います。そういったことが職員からの自分に対する信頼感をもたらしているのかなと。
- 本多
そうですね。それは私も看護師さんと会話して、すごく喜ばれたという経験があって、それはコーチとして私が組織に入ったときに「何か閉塞感が打破された」「組織が閉ざされていない」という感覚でしたね。
これまでは「院長が言ったことが絶対だ」というところから少し穴が開いて「外の世界とつながっているかもしれない」という感覚に変化したんだと思います。
最近入職された看護師さんが、「こういうふうに院長自らコーチを付けて自己改革や組織改革に取り組んでいることはとてもすばらしい」と話してくれて、評価していただいたなと感じています。
- 参加者
- 今はどうですか?
- 本多
僕の体験は「友達」っていう体験があって! 相手はどう思っているか分からないけど(笑)
職員の方々本当に素晴らしいんですよ。看護師さんも受付の方も栄養士さんもとても仲良くしていただいています。普段連絡を取り合う仲ではないですが、何かあったときにSOSが出せたり、外の世界に発信できるっていう安心感はあるんじゃないかなと思います。どうですか?(星野先生へ)
- 星野
そうですね。個人医院は「院長が絶対的な権力を持っていて、それに従うものが働く」というのが従来のスタイルだとして、職員も「貪欲に職場で何か成し遂げよう」とか「目的を達成させよう」という欲求が無く、どちらかといえば「お給料がちゃんと貰えて定時に帰れる」というスタイルが求められている風潮があります。
それはそれで問題ではないのですが、うちの職員はそれとはちょっと違います。ひとりひとりがポリシーや目標を持って今働いてくれています。まだ私も成長過程にあるので、それを背中で一人見てくれている人(コーチ)がいるというのは、職員にこの上ない安心感をもたらしているんだなと思います。
まぁ、これからのクリニックはこういったスタイルのほうが、院長の絶対的権力が充満するスタイルよりも効果的なのではないかと思いますし、もっといろいろなスタイルがあっていいいと思います。
以前よりもコミュニケーションがとれるようになりました
- 参加者
- コーチングを受ける前、実際に開業して困っていたことは何でしたか?
- 星野
開業後、患者さんが日に日に増えていくことに充実感がありましたが、1年くらい経って落ち着いてくると、それはそれなりに単調とした毎日で「このままでよいのかな」と漠然と考えていました。
そして、同業者に相談しても「そのままで良いじゃない」と言われる程度で、なかなか良い解決には至らなかったし、継続して心から相談するという相手がいるようでいなかったです。
様々な難題が降りかかってくると自分なりに対応し解決していきましたが、日々診療を続けていく中で診療以外に「これが続くのは結構重いな」というのが実際に困っていたことでした。
- 本多
- それらのことは、開業する前も予測されてたことだったんですか?
- 星野
予測していませんでした。今まで(勤務医のとき)は人と意見がぶつかることや、トラブルなどほとんどありませんでした。職場では黙々と仕事をし、それなりに評価もされていたので、開業しても対人関係で困ることはないだろうと考えていました。ところが、そうではありませんでしたね(笑)
今は職員が本当に何を思っていて、何が言いたいのかが見えてきました。以前よりもそれだけコミュニケーションがとれるようになったということでしょうか。
- 参加者
- 例えばどんなことですか?
- 星野
例えば、私が患者さんに話したことや治療について指導したことについて、職員が感想を述べたり意見をします。「そんな見方もあるんだ」と思うことを、職員が意見してくれるようになりました。
今までは医療現場で患者さんに向き合うのは医者であり、看護師(職員)はそのサポート役と思っていました。今は全員がチームとなって患者さんに関わってる感触があります。

星野和彦 経歴
横浜市泉区出身
[平成5年]国立弘前大学医学部卒業
[平成5年]横浜市立大学病院臨床研修医として内科全般・救急科・眼科・皮膚科等を担当
[平成7年]横浜市立大学第三内科(現 内分泌糖尿病内科)入局
[平成9年]朝日生命糖尿病研究所にて国内最先端の糖尿病医療を学ぶ
[平成13年]横浜市立大学第三内科 助手
[平成15年]藤沢市民病院内科(糖尿病・甲状腺・代謝疾患担当)医長
[平成17年]藤沢市民病院内科主幹
[平成19年]ほしの内科クリニック開院 現在に至る
資格
[資格]日本内科学会認定医 / 日本糖尿病学会専門医 / 日本糖尿病協会療養指導医
[その他]湘南糖尿病懇話会幹事 / 藤沢糖尿病勉強会幹事 /
藤沢腎高血圧研究会幹事 / 神奈川県糖尿病対策推進委員
メディア出演・講演 等
『リビング湘南』に取材記事が掲載[2010年]
よみうりTV、中京TV系列『愛の修羅バラ』に出演[2010年]
TBSテレビ『ざっくりマンデー!!』に出演[2009年]
TBSテレビ『ネプクリニック 180°変わる医学常識』に出演[2009年]
テレビ東京『レディス4』糖尿病特集に出演[2007年]
医療法人星和会 ほしの内科クリニック
HP:http://www.hoshinoclinic.net/






